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「その場所で取れたモンが一番美味いんじゃぁあああ」と思っている、いちおう研究者☆


by charlie-oncoming
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チイチイとアカメちゃん。

 ミニのずいぶん年下の兄弟に、チイチイというオスの猫がいた(昔我が家ではアメリカンショートヘアをペアで飼っていたのだ)。
 実はこのチイチイ、生まれつき後ろ足が悪く、よちよち、よろよろ、としか歩けなかった。生まれたときは、他の兄弟たちと同じくらいの大きさだったのに、十分運動ができないからか、チイチイだけ発育も悪かった。他の兄弟がもらわれていった後も、チイチイだけは我が家に残ることになった。
 チイチイはいつも寂しそうだった。一緒に走り回れないので他の兄弟たちからは仲間はずれにされ、生後半年ちょっと経つと親離れさせられ、ひとりぼっちだったのだ。
 チイチイが生後8ヶ月になった頃、我が家に一匹の、生後2、3ヶ月くらいの人なつっこいオスの子猫が迷い込んできた。さっさと家に上がり込み、餌を食べ、人間に甘えた。あっという間に「うちの子」になってしまった。まぶたの周りの毛が薄く、うっすら赤っぽく見えたので、母が「アカメちゃん」と名付けた。
 元気有り余るアカメは、人間だけではなくミニや、ミニとチイチイの父母猫にじゃれまくっていた。当然チイチイにも猫パンチでちょっかいをかける。でも、足の悪いチイチイはアカメを追いかけることが出来ない。アカメは何度も何度もチイチイにちょっかいをかける。でもやっぱりチイチイは横になったまま。私は「アカメちゃん、だめだよー」とアカメを抱き上げようとした。
 するとアカメは何を思ったのだろう。突然チイチイの隣にごろんと横になり、横になったままチイチイに猫パンチをし始めた。今度はチイチイも猫パンチで反撃する。そしてそのまま、二匹は寝っ転がったまま、じゃれあいをはじめたのだ。
 それから、チイチイとアカメは大親友になった。いつも一緒に眠り、餌も一緒(よたよた歩きのチイチイのペースにあわせてアカメは歩いて餌を食べに行った)。そしてじゃれるときは、必ずアカメは寝っ転がって、形勢不利になっても絶対に立ち上がって逃げたり、立ってチイチイを攻撃することはなかった。人間から何か美味しいもの(小魚とか)をもらったときは、チイチイの所で一緒に食べた。
 何だか、この二匹の姿を見ていたら心があったかくなった。「アカメちゃんを見ていると、教えられるね」と家族で話していた。
 そして不思議なことに、チイチイの年下の兄弟たちもアカメに習い、寝っ転がってチイチイと遊ぶようになっていった。そのうちに、チイチイとアカメをサンドイッチにするように、チイチイの年下の兄弟たちも一緒に眠るようになっていた。
 
 生育の悪いチイチイよりもアカメが大きくなった頃、チイチイが病気になった。ほとんど歩けなくなり、おしめをし、餌もあまり食べなくなった。アカメが餌を運んでも、それを口にしなくなった。病院に連れて行っても、もともとこの子は弱く、手当てしても長くない、と言われた。看病を続けたが、チイチイはどんどん弱っていった。…そして、可哀想なチイチイは死んでしまった。
 アカメは、弱っていくチイチイのそばにずっといた。一緒に眠り、せっせと餌を運んだ。チイチイが死んでしまったときも、隣に座っていた。
 チイチイをお墓に埋めた後、アカメはチイチイを探し回った。にゃーにゃー鳴いて、探し回る。とても悲しかった。

 そんなアカメも、数年後、道路に飛び出して車にはねられて死んでしまった。

 手元に、チイチイとアカメの写真が残っている。アナログ写真なのでスキャナーを持っていないから載せられないのが残念だけれど。
 そこには、アカメや年下の兄弟に挟まれて幸せそうに眠っているチイチイの姿が映っている。
by charlie-oncoming | 2004-04-26 15:34 | 楽しく過ごそう♪